
シーズ先行が重視され、顧客ニーズに対する配慮が十分でなく、したがってシスティマティックでロジカルな評価基準が極めて少ない。そこで現在のような変化の激しい企業環境を意識して、抽象的ではあるが新製品の競争力を決定する要因を示すと次のようになる。
(1)顧客との繁がりはあるか、
(2)顧客ニーズに答えているか、
(3)顧客ニーズの先取り(2〜3年)をしているか、
(4)最新技術、ハイテクが盛り込まれているか、
(5)自社の暗黙知、経験、知識、ノウハウが生かされているか、
7. 新製品開発成功の条件
上述したような観点から新製品開発成功の条件をまとめると次のようになる。
(1)顧客ニーズに見合った高品質とリサイクル対応、
(2)カスタマー・ドリブンになっているか、
(3)チーム主体のコンカレント・エンジニアリング、
(4)トップマネジメントの参加、
(5)開発設計プロセスの単純化、
(6)ワールドワイドな情報システムの確立、
(7)三次元ソリッド・モデリングの導入、
(8)重点生産の明確化とリソースの集中化、
(9)アジャル・エンタプライズ・ビジネスの構築、
(10)人材確保と企業の戦略的教育、
8. PC Windowsベース三次元ソリッド・モデリング時代の幕開け
世界の高度情報化生産技術の指導的役割を果たしているAUTOFACT‘95のテーマが「製品設計技術と工程設計技術の高度化」に設定され、ここでは、米国製造業の「Windows‘95を搭載したパソコンによるパラメトリック・フィーチャー・ベース三次元ソリッド・モデリング時代の幕開け」を告げていた。したがって、物作りの仕組みが大幅に変革されることが予測されるし、製造業の間接部門と直接部門の一体化、すなわち、ワールドワイドに企画開発、設計、製造、販売、サービスなどの機能が分散されていても、十分に一つの企業として円滑にリアルタイムに、ビジネス活動が可能になってきたことを意味するのである。たとえば、MS−WORD(ドキュメント作成)、MS−EXCEL(データ分析/管理)およびSolidWorks95(3Dパラメトリック・フィーチャ・べース・ソリッド・モデリングCAD)を搭載した携帯用パソコンさえあれば、一人で経営企画センターや開発設計センターなどに匹敵する活動が可能になるのである。これからは従業員一人一人の知的レベルが、企業の盛衰を左右する重要な鍵を握る時代になってきたのである。
したがって、これからの製造業の経営者の重要な役割の一つは、企業のビジョンを明確にして従業員の知的レベルを如何に高めるか、そして自立分散した高い知的レベルの従業員を如何に束ねて企業活動に結び付けるかということになる。
9. 最後に
CALSの考え方を背景にした企業経営の変革は必然であり、これに乗り遅れた企業は衰退に追い込まれると言われている。この経営の変革における重要なポイントが、企画、開発、設計プロセスの変革であることについて述べてきた。そこで最後のまとめの意味で変革に失敗する企業環境を示すことによってこれから
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